恋の神様はどこにいる?
千里さん、鋭い。兄弟だから志貴のことをよく知っているのか、千里さんだけに千里眼が働いたのか……。
言うことひとつひとつが的確で、まるで心の中を見透かされているよう。
ここで黙っていては、その通りと言っているのも同じこと。だったら素直に白状すべきと、私は昨日志貴に言われたことを千里さんに話すことにした。
「志貴に、ここで巫女として働けって言われたんです」
「志貴がそんなことを言ったの? ホントに?」
千里さんはかなり驚いている様子で、私がうんと頷くと「ふ~ん」と小さく呟いて私から視線をそらし立ち上がる。そして窓の近くまで行くと、こちらに振り向かず外を見たままで話しだした。
「志貴は神主を始めた頃、女の子をよくここに連れてきてたんだけど、絶対に巫女の手伝いはさせなかったんだ。まあ志貴がまだ新米の神主ってことで、そんな権限がなかったってこともあるんだけど」
「はあ……」
「ましてや、巫女になれ!! なんて、口が避けても言うことはなかった。小町ちゃん、どうしてかわかる?」
千里さんはクルッと180度向きを変えると、私に一歩近づいた。
どうして志貴が、女の子を連れてきても巫女の手伝いをさせなかったのか……。
そんなの私には、全然検討がつかない。
私が「わかりません」そう答えると、千里さんはふっと笑いもう一歩近づく。
「その頃の志貴は神職の資格を取得したばかりでね。でも自分の意志で神職になったわけじゃなかったから、結構いい加減な生活をしてて……」
千里さんはちょっと言いにくそうな顔を見せると「特に女性関係がね」と付け加えた。