恋の神様はどこにいる?
★ふたりで過ごす時間
神社から帰り簡単に昼ごはんを済ませると、部屋の掃除を始めた。
「巫女かあ……」
掃除機をかけながらも、さっきから口をついて出てくるのは“巫女”の二文字ばかり。
正直なところ、千里さんが話してくれた巫女の仕事の中身を聞いて大変な仕事内容に驚きはしたものの、興味も持ってしまって。
忍耐力・精神力・体力───
今まで事務仕事しかしたことがなくて、どれひとつ自身はないけれど。それでも何故か、やってみたいという気持ちが膨らみ始めていた。
巫女の定年は二十八歳から三十歳。千里さんは絶対じゃないみたいなこと入っていたけれど、巫女さんといえば若い女性がしているイメージがあるし、二十四歳の私が勤められても長くてあと六年。
でも千里さんか志貴と結婚すれば……。
ゆっくり目を閉じると、頭の中にニヤリとほくそ笑む志貴の顔が浮かぶ。
「な、なんで志貴なのよ!?」
頭に浮かんだ志貴の顔をかき消すように頭の上で手を振ってみても、その映像はなかなか消えてはくれなくて。
力なく手をだらりと下ろすと、自嘲気味に薄ら笑いを浮かべた。
「香澄の言うとおり。志貴のことが気になってしょうがないんじゃない、私」
薄々気づいていた気持ちだけど、こんな本格的に意識したのは初めてで。
そして一度意識してしまうと、その気持ちは一気にスピードを上げ“好き”にたどり着く。
どうやら私、志貴のことが好きみたい───
上から目線の俺様で勝手きわまりなくて、意地悪なことばかり言う志貴だけど、時折見せる優しさは私の胸をキュンとさせてしまう。
神社のこと、巫女のこと、志貴のこと。
まだまだわからなコトだらけ。けど志貴のそばにさえいれば、なんでも乗り越えられそうな気がする。
そして、自分自身も変われそうな予感に心が弾んだ。