恋の神様はどこにいる?
「家で待ってろって言ったよな? どこに行くつもりだった?」
「スーパー」
「はあ!? なんでスーパー行くんだよ?」
「それは……。もう夕飯の時間だし、もしかして志貴お腹空かしてくるんじゃないかと思って」
「なに、なんか作ろうって思ったとか?」
「あぁ、ごめん。作れないから、すぐ食べれるモノ買ってこようかと」
あはは……なんて、作り笑いしてみせたけど。
普通の女の子ならここで『パスタでも作ろうかと思って。うふっ』なんて、可愛らしく愛嬌をふりまくのかもしれないけれど。生憎、私はそんなスキル持ち合わせてなくて。
インスタントラーメンやお茶漬け出すくらいなら、スーパーのお惣菜を買ってきたほうがマシだと思ったわけで。
「俺から逃げようと思ったんじゃないんだな?」
「なにそれ? そんなこと、これっぽっちも考えてないんだけど」
そう言って右手親指と人差し指を、志貴の顔の前にスーッと差し出した。
「……っとに馬鹿かお前は。マジで焦るだろ」
「なんで志貴が焦るの?」
「気にするな。こっちの話だ」
だから、そんなこと言われたら気になるに決まってるでしょ!! いつも肝心なところを話してくれないから、こっちはモヤモヤしたものが残ってしまう。
でも志貴は何もなかったような顔をして私の前に立ち、顔を覗きこんできた。