恋の神様はどこにいる?

「何、小町は腹減ってんの?」

「まあ、そこそこには。時間も時間だし」

「ふ~ん。じゃあ俺が作ってやる。買い物行くぞ」

「うわっ!!」

いきなり腕を引かれ、バランスを崩した私は志貴の胸に飛び込んだ。

「なんだよ小町。こんなところで抱いてくれってか? 俺は別に、誰に見られても構わないけどな」

「馬鹿志貴!! あんたが引っ張るから、こんなことになったんでしょ!!」

「あんたって誰だよ?」

突然声のトーンが下がり、目がキッと細められる。

「え、えっと、志貴です」

「わかればいい」

ホントにもう、あんたって何様? おっとっと、間違えた。志貴って何様?

Sで俺様な志貴のこと。心の中まで読まれそうだから注意しないと。

でも志貴は私のことを『おまえ』って呼ぶくせに。

なんかそれって不公平なんですけど……。

唇を尖らせて不満を表していると、それをギュッと摘まれた。

「何物欲しそうな顔してんの?」

「んん、んんんんんんんー!! (志貴、指はなしてよー)」

「そんな顔、俺以外の前では見せんなよ」

はあ!? どんな顔してるっていうのよ。自分ではわからないんですけど!!

それに、言ってる意味もわからない。これは物欲しそうな顔じゃなくて、不満爆発の顔なんだってば!!

そこんとこ、わからないかなぁ~。



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