☆You☆
その場から 逃げ出すように
走り去った男の子に
何となく 恥ずかしくて
私も背を向けて
今受け取ったばかりの
白い封筒を開けた
中には 水色の便箋が一枚
4つ折になって 入っていた
私は 持っていたバッグを
足元に置き
白い封筒をポケットに入れて
水色の便箋を開いた
尚ちゃんへ
尚ちゃん もうすぐ 卒業だね
中学も また 同じクラスになれたら いいね
尚ちゃんに 質問が あります
尚ちゃんは 好きな子は いますか
おしえてください
俺は います
幼稚園から ずっと 好きな子がいます
俺は 吉見 尚ちゃんのことが 好きです
宮間悠太
みやまゆうた…
そう 彼の名前は宮間悠太
私が 幼稚園からずっと片想いだった
そのアルバムのなかの男の子は
宮間悠太だった
彼の名前と共に私が忘れていた
記憶の空白を埋めるように
次々と
消えていた記憶
忘れていた記憶の場面が
私の目の前を走り抜けていった