☆You☆

そのとき突然


花火の音が 私たちの背中で 響いた


私は 慌てて 下駄を履き


花火の見える場所まで 来た





霞のない 左の夜空に
大きな大きな 赤い花火が あがった




ふたりで 立って 眺める この花火

来年もまた 悠太と見たい


本当に そう思った


悠太は そっと 私の手を

指先を絡めて 握り直して




「尚ちゃん 来年もまた
ここで花火見ようね」


私の心の中の声が
聞こえてしまったみたいな言葉



「うん 約束だよ 悠ちゃん」


悠太は 私の肩を抱き寄せて


「尚ちゃん 愛してる」

優しく 耳元で そう ささやいて



悠太の唇は


私の唇に触れた



そして

悠太は 何度も 私にキスをした

その度に 私を抱きしめて


「尚ちゃん 愛してる」と



花火が どんな花火だったのか
私は 覚えていない


だって 花火があがる度に


愛してるって言う 悠太の真剣な目と


私の唇に触れるときの
悠太の顔が

花火の光に 照らされて 見えた


その顔は

ドキッとするくらい 男らしくて

私はそのときの
悠太の顔しか 覚えていない

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