☆You☆
私は 電車が 到着すると 駅の階段を
かけ上がった
そして改札口が見えたとき
改札の向こうに
悠太の背中が見えた
そして
悠太の前には
地元の高校の制服姿の
私の知らない女の子が
立っていたのが見えた
私より すごく大人っぽくて
髪が茶色の きれいな女の子だった
その場所に 近づける勇気のない私は
ふたりから 目線をそらすように
上がってきた階段のところで
悠太に 背中を向けて じっと待っていた
「尚!!」
改札の向こうから 呼ぶ 悠太の声が
聞こえた
私は ちょっと うなだれながら
振り返り
改札口まで ゆっくり歩いた
多分 凄い ふくれた顔で
改札を出ると
悠太は 私の頭を撫でながら
「尚ごめん 怒らないで」
私の心情は
思いきり 顔に出ていたようだ
ご機嫌ななめの私に
「俺は 絶対尚しか 見てないから」
私の顔を覗き込んで 悠太は言った
「あの女の子に 何て言われたの」
凄く凄く 気になった
ヤキモチと心配が 私の頭の中を
グルグル まわっている
「付き合っている人いますって
俺 ちゃんと言ったから」
私の手を強く握りしめて
真剣な顔で 悠太は言った
他の 女の子に 告白されたんだ…
悠太が 悪いわけじゃない
でも やっぱり 私の知らない誰かに
告白されたことが
本当に 嫌だった
中学のとき 知らない先輩から
告白された私に
悠太 怒った顔で 教室のドアを
殴って 私に怒鳴った
あの時の
悠太の気持ち
今痛いくらいわかった