SKプ
ホラーへ逃げる
タフィと死刑囚


タフィは嫌われ者だった。

学校で毎日のようにいじめられ、いびられ、掘り返されてはぐちゃぐちゃにされた。
タフィは毎日が嫌で嫌でしょうがなかった。
でも、タフィの頭の中に、「死」という文字は、浮かび上がっても消されていっていた。

タフィには生き甲斐があった。
恋人がいた。

してはいけない恋だった。
相手は囚人だった。
そして死刑囚だった。

タフィは考えた。
恋人が死んだら。どうやって生きて行けばいいのだろうか、と。
生き甲斐がなくなれば、生きる意味などない。と。
なら、一緒に死ぬ?


タフィは学校に行かなくなった。


タフィは妄想の沼にハマっていた。
恋人と暮らす妄想。
恋人と結婚する妄想。
恋人と食事する妄想。
恋人と・・・恋人と・・・

ある日。
恋人は死刑で死んでしまった。



タフィは久しぶりに学校へ行った。
不登校になったものと思っていたクラスメイト達は、目を皿にして驚いた。
タフィはにっこりと笑顔だ。

もうタフィをいじめる人達はいなくなった。タフィがあまりにも笑顔なので、気持ち悪く感じたのだ。
タフィは毎日、同じ事を考えた。

タフィは現実から逃げた。
現実から自分を消し、一切を妄想に打ち込んだ。
夜以外は。




家に帰り着いたタフィは、鞄を投げた。
自分の部屋へ引きこもると、恋人の頭と身を擦り寄せ、涙を流していた。
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