扉の向こうのパラダイス
結局はアケミと一夜を共にした。


BARでドイツビールを飲んでいる間中も、アケミはキスをせがみ(こんなにキス魔だとは思わなかった)、その度に外人客に「Hey!your wife?」「NoNo She'S Girlfriend」と訂正したりして。

俺もかなり酔っ払っていたんだろう。

「ねぇ、セックスしようよ」と潤んだ目で見つめるアケミの誘惑に負けてしまった。

道玄坂のホテルへチェックイン。まさかこうなるとは思わないから、持ち合わせが無くて、カードで支払いを済ませた。

「シュウジ、リラックス、リラックスだよ」

アケミにそう言われるたびに緊張する。

抱きしめてキスをしながらも「勃起するのかな、できるのかな」と全意識は下半身に集中してしまう。

考えれば考えるほど萎縮する。
もちろん反応無し。

乳首を舌で転がしながら、人差し指でクリトリスを撫でると、酔ったアケミは「オウ、オウ」と聞いたことがないような野太い声でよがる。

ったく、熊じゃないんだからさ。

色気も何もない声に、何とか半勃ちになったペニスも、萎んでしまった。
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