扉の向こうのパラダイス
扉の向こうはゲイの世界
あれから数日間、仕事に忙殺された。

メール魔のアケミなのに、あの一件以来、何の音沙汰もないのが気になっていた。

気まずかったもんな。
何で俺、あの夜、勃たなかったんだろう。

はぁぁぁぁぁぁ。
もう何度目か分からぬ、深い深いため息。


意を決して、こっちからメールを送ってみた。


「この前はありがとうね。楽しかったよ。
それでさ、俺、かなり凹んでる。自分の中ではもう決定的だなって思ってる。
かみさんとセックスができないってことは話したよね。病院へ行こうかどうか迷ってるんだけど、たぶん俺、EDなんだと思う
あの夜、男として俺本当に情けなかったし、アケミにも悪いし・・・めったに落ち込まない男がこんなに落ち込んでるんだから、どうしようもないね」

すぐに返事は来た。
「ED」とはっきり書いてはいなかったが、それらしき返答があった。

「んー、よく分からないけど、体調とか、雰囲気とか、相手とか、いろいろ原因はあるんじゃないかなぁ。
シュウジさえ良かったら、また試しましょう♪」

あー、なんていい奴なんだ。

でも、アケミと試すことは無いだろう。

それどころか、女性とセックスをすること自体もう無いような気がする。あんな惨めな思いをするのはもうたくさん。

マスターベーションはできる。

一人だとちゃんと勃起する。

それなのに何故女性とできない?

俺は一体誰が好きで、誰とセックスをしたいのだろう。
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