扉の向こうのパラダイス
カウンターは人でいっぱいで、テーブル席に通された。

だだっ広いテーブル。
反対側に座るカズオ君までちょっと距離がある。
おまけにこの喧騒。
声が届くのだろうか。

生ビールを2つ頼んだ後、シーフードのパスタ、和風マグロサラダ、それとチーズの盛り合わせを続けて頼んだ。

「じゃあ、乾杯」

グラスを合わせる。

「ユージさんはああいうサイトってよく見るんですか?」

ああいうサイトとはゲイサイトのことだ。

「み、見ないよ。書き込んだ日に見たのが初めてで、『出会い掲示板』ってあるじゃない?興味本位であれをざっと見てたんだよね」

「ああ、ありますよね、そういった掲示板が。
それで、見てどうでした?」

「どうも、こうも、すごいよね、露骨で。
『今夜暇です。渋谷あたりで夜会えませんか?』っていうのはまだ普通の方で、もっとストレートに『デカマラ希望』とかもあったり。ああいうのってサクラ?それともほんとに出会えたりするの?」

真っ直ぐに俺を見つめるカズオ君に問いかけてみる。
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