扉の向こうのパラダイス
「な、無いよ!」

慌ててかぶりを振る。
赤面してるのが自分で分かる。
残り少なくなったグラスのビールを一息に飲み干した。

カズオ君は、目を瞑り、腕組みをして考え込んでいる。

「僕ね、思うんですけど、女性を抱けないからって自分をゲイだと思うのは、ちょっと違うような気がします。
さっき男性とのセックスを訊ねた時、ユージさんかなり動揺しましたよね。あれはなんでですか?」

なんで20も年の離れた小僧から、質問攻めにあわにゃならんのだ?
だんだん不愉快になってきた。

「それはだな、君の声がちょっと大きくて、周りの目を気にしたからなんだ。
男にまったく興味が無いってわけではないんだ」

「ほほお、それは?」

「人のモノっていったらいいのかな。分かるだろう?アレ」

「これですか?」

言いながら、カズオ君は自分の股間を指差す。

「そ、そう。他人の男のソレに興味があってさ、サウナとか銭湯とか行くと、じっと目で追ってしまうんだ」

「あはははは」

「おい、笑いすぎ!」

「いやいや、ユージさんっておかしい!」

こっちは真面目に話してるのに、そんなに可笑しいか?
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