扉の向こうのパラダイス
割り勘で払うと言い張るカズオ君のお金を押し戻した。

「いいよ。学生だろ、金無いんだろう?」

「じゃあ、お言葉に甘えて」

ペコリと頭を下げた。
こういったところは礼儀正しい。

店を出て歩く。

「どこ行こうか?」

「どこに行きましょうか?」

カズオ君のさっきの言葉は本当なのだろうか。
『僕と見せ合いっこしましょうか』
見せ合いっこというのは、もちろんチンチンのことだろう。
見せ合うだけなのか?
その後どうするのだ?

「カズオ君、さっきの見せ合うって話は本気なの?」

「本気ですよ。どこに行きましょうか」

「どこって・・・」

ホテルしか浮かばなかった。

「ホテルってさ、男同士でも入れるのかな」

「ふふふ、試してみましょうか」

カズオ君は俺の右手に指を絡ませてきた。
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