扉の向こうのパラダイス
ホテルには、すんなりと入ることができた。

男と一緒にいることに抵抗があった俺は、カズオ君から少し離れて付いていった。
カズオ君はてきぱきと部屋を決め、フロントでカードキーを受け取り、さっさとエレベーターに乗り込んでしまった。
慌てて後を追った。

可もなく不可もなく、部屋の作りは一般的なものだった。

薄闇の中、正面にカズオ君が立つ。

「ユージさんって男性とキスしたことはないですよね」

「うん、まだ無い」

「できると思います?」

「いやぁ、ちょっと抵抗があるか、んが、んが」

唇に生暖かいものが触れる。
カズオ君が強引にキスをしてきたのだ。

柔らかいナメクジのような唇が、俺の唇を吸い寄せる。

不思議と違和感はなかった。

男とキスをしてる、という嫌悪感も湧いてはこなかった。

次にカズオ君は股間を握ってきた。

「あうっ!ちょ、ちょっとタンマ。
汗臭いし、シャワーを浴びさせてくれ」

逃げるようにして浴室に飛び込んだ。

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