扉の向こうのパラダイス
「ごめん、いっちゃったよ」

思いっきり口の中に出してしまい申し訳なく思った。

カズオ君は、浴室の隅の排水溝の俺の精子をそっと吐き出し、口元をすすいでいる。

「ううん、気にしないで。気持ち良かった?」

「うん、そりゃもう」

本心だった。

これまで何人もの女性に口でしてもらったが、これほど気持ちいいフェラチオは初めてだった。
思わず口に出す。

「こんなに気持ちいいのは初めてだよ。女性と何が違うんだろう」

「だって同じ男だもん。感じる場所は良く分かるさ。
あと、口の大きさは絶対に女とは違うよね」

口の大きさ?

「あ、そっか。
男の方が唇が厚い分、上下運動における摩擦と抵抗が女性とは全然違うってわけか!」

「あはは、ユージさんって面白いですよね。
理科の実験じゃないんですから」

「そうだな、分析して論文でも書いて発表でもするかな」

馬鹿馬鹿しくて苦笑した。

風呂場で、真っ裸の男2人で、何を話しているんだか。
< 34 / 58 >

この作品をシェア

pagetop