扉の向こうのパラダイス
彼氏募集、会いたい、付き合いたい、などなど、あの掲示板には結構ストレートな書き込みが多かった。

そんな中、俺だけが「女性を抱くことができない」などと人生相談じみたことを書いていた。

この49才の「サトル」というおじさんにとっては、新鮮に感じたのかもしれない。

おっさんでありながら「172*62*49」というプロフィールを見る限り、細身でスマートな印象を受けるし、文面からも知的センスが感じられた。

「サトルさん、はじめまして。メールありがとうございます。
私は40才なので、ぎりぎり同年代に入りますね。(笑)
バーボンはもう何年も飲んでないです。最近はもっぱら焼酎オンリーです。機会があれば一度飲みに行きましょう。
ますはいろいろお話しましょう。どうぞよろしく」

これが、サトルさんとのメールの始まりである。

この時は夢にも思わなかった。

この「サトル」という9才年上の男性と、この先数年間深く、濃く、付き合っていくことになろうとは。
< 44 / 58 >

この作品をシェア

pagetop