扉の向こうのパラダイス
ほんとに49才!?

髪はふさふさだし、髭の剃り跡も無ければ、皺だって少ない。

どう見ても30代だ。

俺の方が老けて見えるんじゃないか?

動揺を悟られぬよう、さりげなく声をかけた。

「こんばんは。
よく、俺がユージだって分かりましたね?」

「分かるさ、イメージ通リの雰囲気だもの」

サトルさんは俺の全身を上から下まで、値踏みするように眺めた。

「どうですか、実際に会ってみて俺の印象は?」

「うん、爽やか。かっこいいよ」

か、かっこいい!
そんなこと、これまで言われたことなんてなかったよ。
同姓からでも嬉しいものだ。

「じゃあ行きましょうか。
このビルの地下に、美味しそうな和食屋があるんですよ」

あらためてネットで調べておいた店へサトルさんを招待する。

「オーケー!レッツゴー!」

陽気な人だ。そして不思議な人だ。
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