扉の向こうのパラダイス
土曜日。

朝から太陽がジリジリと照りつけていた。

ネクタイを緩め、薄目を開けて空を見上げる。

すっかり夏だなぁ。

蝉時雨が耳に心地よい。




仕事を終えたその足で電車に飛び乗った。

サトルさんの住む街までは、乗り換えを含めて電車で50分。
決して近くはない距離だ。

改札を出ると、サトルさんは迎えに来てくれていた。

前回会った時のようなスーツ姿じゃなく、黒いジーンズに白いTシャツという、若々しい格好だった。

「やあ、ユージ。よく来たね」

がっしりと握手を交わした。
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