ひだまりの花
お日様の人
アパートの最寄り駅から三駅先にある、テナントビルの五階、藤崎デザイン事務所が私の職場。
買い物に出れば一度はうちで手掛けたポスターを見かける、小さいながらもそこそこ実績のある会社だ。
私もプランナーの一人だが、私が担当するのは喫茶店のメニュー表や個人経営するお店のチラシと言った細々としたもの。
けれどクライアントさんの喜んでくれる顔が見られればそれで充分だと思う。
「由香さーん、おはようございます!」
後輩の三奈ちゃんが、人懐っこい笑顔で挨拶してくる。
「おはよ、今日も元気ね。」
まだ入社二年目の彼女は22歳。
お天気なんかに左右されないパワーが溢れ出ている感じだ。
もうすぐ30になる私とは肌のツヤが違う。
「今日天気もちますかね~?私湿気が多いと髪広がっちゃうから、雨嫌いなんですよね~。」
肩まである柔らかそうな茶色の髪をクルクルと弄びながら三奈ちゃんが言う。
彼女なりにお天気の悩みもあるらしい。
「そうねぇ、私も雨の日は好きじゃないけど、今日は夜からって言ってたし、大丈夫なんじゃない?早くあがれるように頑張ろうね。」
パソコンを立ち上げながらそう言うと、三奈ちゃんも「は~い。」と席についた。
昼が近くなって、私の頭がズキズキと痛みだした。
まずいな~と思いつつも今やっている仕事は終わらせないといけない。
昼に薬を飲むから、と自分に言い聞かせ必死にパソコンに向き合う。
なんとか納得のいく物に仕上げ、ホッと息を吐くと丁度時計が12時を指す所だった。
出来上がったデザイン案を課長の都筑さんに持っていく。
都筑さんは満足そうにうなずいて、
「これならそのままクライアントさんに出しても良さそうだ。」
穏やかな笑みを浮かべた都筑さんにお礼を述べ、デスクへと戻る。
頭痛が大分本格化してきたので、急いでバッグからピルケースを取り出したのだが…
「あれ…?」
薬が入っていない。
そう言えばこの間飲んだ後補充してなかったっけ。
家に帰れば薬はあるが、とてもじゃないがもちそうにない。
ふーっと溜め息をついて自分のデスクでお弁当を広げている三奈ちゃんに声をかける。
「三奈ちゃん、痛み止め持ってる?」
「すみません~、ないです~。」
お弁当をつつく手を止め、三奈ちゃんはすまなさそうに手を合わせた。
「由香さんどうしたんですか?顔色悪いですよ?」
「大丈夫。ちょっと頭が痛くてね、御飯買うついでに薬局行って来るよ。」
私の様子がおかしい事に気が付いて慌てて席を立つ三奈ちゃんに、ヒラヒラと手を振りながら私はオフィスを出た。
買い物に出れば一度はうちで手掛けたポスターを見かける、小さいながらもそこそこ実績のある会社だ。
私もプランナーの一人だが、私が担当するのは喫茶店のメニュー表や個人経営するお店のチラシと言った細々としたもの。
けれどクライアントさんの喜んでくれる顔が見られればそれで充分だと思う。
「由香さーん、おはようございます!」
後輩の三奈ちゃんが、人懐っこい笑顔で挨拶してくる。
「おはよ、今日も元気ね。」
まだ入社二年目の彼女は22歳。
お天気なんかに左右されないパワーが溢れ出ている感じだ。
もうすぐ30になる私とは肌のツヤが違う。
「今日天気もちますかね~?私湿気が多いと髪広がっちゃうから、雨嫌いなんですよね~。」
肩まである柔らかそうな茶色の髪をクルクルと弄びながら三奈ちゃんが言う。
彼女なりにお天気の悩みもあるらしい。
「そうねぇ、私も雨の日は好きじゃないけど、今日は夜からって言ってたし、大丈夫なんじゃない?早くあがれるように頑張ろうね。」
パソコンを立ち上げながらそう言うと、三奈ちゃんも「は~い。」と席についた。
昼が近くなって、私の頭がズキズキと痛みだした。
まずいな~と思いつつも今やっている仕事は終わらせないといけない。
昼に薬を飲むから、と自分に言い聞かせ必死にパソコンに向き合う。
なんとか納得のいく物に仕上げ、ホッと息を吐くと丁度時計が12時を指す所だった。
出来上がったデザイン案を課長の都筑さんに持っていく。
都筑さんは満足そうにうなずいて、
「これならそのままクライアントさんに出しても良さそうだ。」
穏やかな笑みを浮かべた都筑さんにお礼を述べ、デスクへと戻る。
頭痛が大分本格化してきたので、急いでバッグからピルケースを取り出したのだが…
「あれ…?」
薬が入っていない。
そう言えばこの間飲んだ後補充してなかったっけ。
家に帰れば薬はあるが、とてもじゃないがもちそうにない。
ふーっと溜め息をついて自分のデスクでお弁当を広げている三奈ちゃんに声をかける。
「三奈ちゃん、痛み止め持ってる?」
「すみません~、ないです~。」
お弁当をつつく手を止め、三奈ちゃんはすまなさそうに手を合わせた。
「由香さんどうしたんですか?顔色悪いですよ?」
「大丈夫。ちょっと頭が痛くてね、御飯買うついでに薬局行って来るよ。」
私の様子がおかしい事に気が付いて慌てて席を立つ三奈ちゃんに、ヒラヒラと手を振りながら私はオフィスを出た。