愛情の鎖
宗一郎さんに会ったのは忘れもしない3年前の冬。
私がまだ18歳で高校3年生の時だった。
その日は珍しく大雪になるぐらい寒い日で、学校から帰った私を待っていたのはそんな寒さよりももっと冷酷なものだった。
「すまない!梨央……」
珍しく深々と頭を下げる父の姿。
「一生の頼みだ。この先俺を恨んでくれて構わない。だから、頼むから中園家を救ってくれ!!」
放心する私に突き付けられた現実。
正直、3年ほど前からうちの両親が経営する会社が悪い方向に傾きかけていたのはなんとなく気づいていた。
だけどまさか、家族全員が一家心中を迫られるほどの莫大な借金まであるとは思ってもみなかった。
「こんにちは。梨央ちゃん」
そんな時現れたのが澤田宗一郎。彼だった。
全身黒のスーツを身にまとったいかにも強面のオーラを醸し出していた宗一郎さん。
目が合った瞬間、私は今まで感じたことのない恐怖を覚え、体の底から震えが駆け上がってくるのを記憶してる。
「大丈夫。君だってこの先路頭に迷いたくはないだろう?私のところにさえ来てくれれば悪いようにはしない。君の両親も会社も私の力で全て助けてあげるから安心しなさい」
やっぱり彼はまっとうな世界の人間ではなかった。
いわゆる闇金業者。
しかもヤクザという裏の世界の住人だったのだ。