愛情の鎖
そんな彼からお金を借りていた父親。
知らぬ間に借金は山のように膨らみ、気づいた時には前後左右どこにも首が回らない状況にまでなっていた。
そんな時、澤田宗一郎から持ちかけられた卑劣な申し出が私。私自身。
以前私が家族で一緒に居るところを偶然見かけたという宗一郎。そんな彼が年甲斐もなく私に一目惚れをしたというのが全ての始まりだった。
彼は借金をチャラにする変わりに私を欲しがり自分のものにしようとした。
そして中園家がボロボロになり、崩壊する寸前で悪魔のような縁談を持ちかけたのだ。
そうして…
私は彼の妻になった。
ようするに私は借金の方、澤田宗一郎に買われたのだ。
だけど不思議と両親を恨む気持ちにはなれなかった。
私に向かってひたすら頭を下げる父と母。
泣き崩れ、延々と謝り続ける両親の姿を見てとてもじゃないけど嫌だと拒否することはできなかった。
これが私の運命だと。
私の宿命なんだと。
この時、私は自分の未来を捨て、澤田宗一郎の所有物になることを決めたのだ。