愛情の鎖
そんなコウさんの言葉に呆れながらも、やっぱり違うよね?とベッドに休むようにと促した私。
ひょとしたら彼は熱に強いタイプなのかもしれない。そう思いながらも、寝るときは寝るべし!
面倒くさそうなコウさんを無視して強制的に寝室の方へと背中を押すと、扉を開けた瞬間なぜか左の手首をグイッと捕まれた。
「もう帰んのか?」
「えっ?」
振り返ったコウさんに思わずキョトンと瞬きをする。
「その、つもりだけど……」
「ふーん」
「どうかした?」
「いや…、冷凍庫にアイスあるからそれ食べてから帰れば」
「えっ」
「今日の褒美。じゃあ」
ポンッと頭に大きな手の平が乗って、すぐに離れていった。
目の前のドアが締まり、がチャリとその姿が見えなくなった瞬間、ふにゃりと体の力が抜けてく気がした。
ふぅ……
今日の任務終了。
そして両頬を手のひらで包む。
不覚にも熱くなった顔を覆い隠せば、ふふふ…と、自分でも分からない笑みがこぼれてくる。
また餌付けされちゃった。
そう思いながら、どうせならビールのほうが嬉しかったなぁ、なんて笑う。それから寝室のドアに向かってニコリと笑った私は
「おやすみ…」
と呟き、キッチンに足を向けた。