愛情の鎖

てことは、まさか…

あの後起きただろうコウさんがもしかして此処に運んでくれたとか?


「て言うか、今何時!?」

「2時すぎだ」

「……えっ」


かすれた低い声が耳元で聞こえ、ビクリと顔を強張らせた。
思わず体が緊張体制に入ると、今まで寝ていたはずのコウさんの目がうっすら開いていた。


「お、起きたの?」

「隣でバタバタされたら嫌でも起きる」

「ご、ごめ……」

「つーか、うるせー」


ひゃぁ〜

寝起きのコウさんっていつも以上に感じが悪い。て言うより、ご機嫌斜め?


「も、もしかして、コウさんが私をここまで?」

「あんな寒いどこで寝てたら風邪ひくだろ」


やっぱり…


「すみません。どうもお世話かけました」

「まったくだ」


うう……本当にすみません。

私としたことが、寝込んでる病人にこんな迷惑かけちゃうなんて…


「あ、あの……」

「なんだ」

「こんな時にあれですが、気分はどうですか?」

「最悪だ」


ああ……

これは相当ご機嫌斜めかもしれない。

だって、さっきから発せられるボイスがいつもの2トーンぐらい低い。

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