愛情の鎖
「て、ことで、じゃあそろそろ私は帰ります」
そんな空気に耐えきれず小声でそう言った私。
さすがにこれ以上いたら迷惑だ。
私のせいで熱が悪化したら大変だ。
そう思い、なぜかさっきから腰から腹部に巻き付いていたコウさんの腕を起き上がって持ち上げようとすると、逆に強い力がかかりグイッと押し戻されてしまった。
「ここにいろ」
私の意思とは反対にそのままぎゅっと引き寄せられる。
そのせいで体制が崩れてしまい、さっき以上に慌てふためく状況になってしまった。
「もう遅いからここで寝ろ」
「えっ……」
焦って目を丸くする。
だって、引き寄せられた私はコウさんの腕の中。
目の前には太く男らしく骨ばった形のいい喉仏。
今まで以上に密着した状態に、冷静でいられるわけなんかない。
「あ、あの……」
「どうせ暇だろ。ここで俺が寝付くまで子守唄でも歌えば。つーか早く帰らないおまえが悪い。この際責任もって最後まで俺が寝付くまで看病しろよ」
いやいやいや。
そんなメチャクチャな。
あまりの言い分に思考回路がパニックを起こす。