愛情の鎖

「いや、でもそんなわけには。さすがに自分の家に帰らないと……」

「どうせ今日も旦那帰って来ないんだろ?だったらいいじゃん。もう面倒くせーからここで寝ろ」


ええっっ!!

なんちゅー勝手な理屈。

相変わらずのオラオラオーラにもはや反論の言葉が出てこない。

何だか急に泣きそうになってくる。


「コウさ……」

「友達なら最後まで責任もって看病すれぱ」

「えっ」

「俺達友達なんだろ?だったら困った時はお互い助け合わないと。な、そうだろ?」


ガーン……

悪戯に顔を覗き込まれて、顔から血の気が引いていく。

これって試されてる?

もしかして試されてるの?

目の前のコウさんがまるでブラックデビルに見える。いいや、悪代官。まるで血の通わない鬼だ。

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