愛情の鎖
心が空っぽになっていく。
彼に優しくされる度、私の感情がごなごなに壊れていくのが分かるんだ。
この先もずっと。
彼が死なない限り……
「分かった。しょうがないな……じゃあ今回は梨央の言う通りにしよう。ラーメンの美味しいお店探しておくよ。それでいいのか?」
「ありがとう。宗一郎さん」
「本当欲のない女だよ」
少し苦笑いを浮かべた彼が私の体を抱き寄せる。
愛しそうに顔を緩ませて、そしてお決まりのように私の唇をねっとりと奪っていく。
苦しい……
「じゃあな梨央。明日の朝まで良い子にしてるんだよ」
「……うん」
そして彼は玄関を開け去っていく。
満足そうに、きっと私のこの無表情な顔なんかに気づくことはないだろう。
この先も永遠に。
自分の欲望に向かってただ生きている彼にはこんな軽蔑の眼差しなんて、きっと一生かかっても分かるはずもない。