愛情の鎖
「さてと、やっと今日も終わった」
全ての家事を終え、お風呂に入った私はゆっくりとバルコニーの方に向かった。
ガラス張りになった大きな扉を開け、すぐ左側に設置された屋上へと続く階段をゆっくり登って行く。
ああ、これからがやっと私の時間。
唯一私がホッとできる時間なのだ。
宗一郎さんの仕事は表向きはホストクラブやキャバクラなどのオーナー。
風俗業を何店舗も所有する彼は基本夜から仕事に向かうことが多い。だから夜中はほとんどいない。
ヤクザという裏の顔を持ちつつ、彼はせわしなく2つの仕事を起用にこなしている。
ウッド調の階段を登り切ると、そこはまるで別世界。
都会の真ん中にある緑いっぱいのオアシス。
それは最上階に住む私の特権。
最上階の住人しか使えない貴重なスカイバルコニー。いわゆる屋上付きマンションなのだ。
しかもここは高級マンションだけあってデザイン性も高い。計算されて植えられた観葉植物におしゃれなベンチ。
広さはめちゃめちゃ広くはないけれど、此処は私にとって唯一くつろげる安心できる場所なのだ。