愛情の鎖
それがとても奇妙だった。
なんだかよくないことが起こる前触れのようで、気付くと悪い方にばかり考えてしまう。
大丈夫だよね?
きっと私の気にしすぎ。
そう思うことで私はなるべく平常心、変な事を考えるのをやめた。
ていうより考えたくなかった。
最近の私は少し浮かれすぎていたのかもしれない。
宗一郎さんの本当の恐ろしさ。
それを忘れてしまうほど、私はコウさんとの時間にうつつを抜かしていたのかもしれない。
ーーー…
「…あのっ、菜々ちゃんのお姉さんですか?」
「えっ?」
それは突然の電話だった。
携帯から聞こえる見知らぬ女の人の焦った声。
「実は菜々ちゃんが熱を出しまして」
「えっ?」
「先程から菜々ちゃんのお母さんに連絡をとってるんですが、ずっと繋がらないんです」
「……母に繋がらないんですか?」
「ええ、自宅と携帯に何度も電話をしてるんですが全然捕まらなくてっ…」
そう訴えるのは菜々の学校の先生だった。
困ったように「どうしましょう…」と呟く先生に妙な焦りを覚えてく。