愛情の鎖
そして目に飛び込んできた2人のあられもない姿。
彼らは絡み合うようにベッドの上で激しく求めあっている。
母を組敷く筋肉質な体。
そして背中一面に広がる不動龍の刺青。
これが自分の父だったらどんなに救われただろう。
だけどそれは間違いなく私の夫、宗一郎さんのもので、どうやっても見間違えることはできない。
全身からありとあらゆる血液が引いていくようだった。
立ってるのがやっとの感覚。
思考が真っ白に染まり、私の中でガラガラと何かが崩れてく。地獄への落とし穴。
「…お願いっ、もうやめっ……」
聞いたことのない母の声に、その場に崩れそうになった。
やめてほしいのはこっちの方だ。
誰が嘘だと言ってほしい。
こんな光景は間違いだよって、これは悪い夢なんだよって誰か私を救ってほしい。