愛情の鎖
人生が壊れてく……
今まで築いてきた私の大切な人生が。
ガタリッ……、持っていた鞄を力なく落とすと、激しく軋んでいたベッドの音がピタリと止んだ。
そしてその場の空間が一気に静まり、母の驚いた声が飛んできた。
「………り、おう?」
「……っ……!」
「梨央!」
ドアの隙間越しで起き上がった母と視線が絡み合い、私はたまらずドアを勢いよく閉めた。
その瞬間見えた宗一郎さんの横顔。
それは、私に対して微かに笑っているように見えて…
「……っ……!」
再び鞄を持つと、一目散に外へ出た。
血相を変えてタクシーに乗り込むと、菜々のグッタリした姿が目に入り、少し不思議そうな顔をした運転手が振り返った。
「あの、どうかされ………」
「すみません!すぐに○○クリニックまでお願いします!」
蒼白なまま「早く!」と言えば運転手さんは首を傾けながらも何とか出発してくれた。
「…お姉ちゃ……」
菜々が甘えるように抱きついてくる。
ハッとした私はたまらずそんな小さな体を両手で抱き寄せる。
と、とりあえず菜々を病院に連れて行かなくちゃ……
震える体、地の底に落ちそうな気持ちを堪えるように、ぎゅっと菜々を抱きしめた。