愛情の鎖
「菜々の体調の変化に気づかないほど宗一郎さんに夢中だった?」
「違っ……」
「菜々はずっとお母さんの変化に気付いてたよ。最近様子が変だってっ、あんな小さい子を不安にさせて何してんの?少しは悪いとは思わなかったわけ!?」
「違うのよっ……」
私の怒鳴り声にとうとう母はその場に泣き崩れた。これじゃあどっちが親で子供なのか分からない。
今まで見たことがないほどの脆すぎる母の姿。
体の芯から体温が冷えきっていく。
気付けば私の頬が涙で濡れていた。ポタリポタリと涙が床へと落ちていき、行き場のない思いだけがふつふつと増えていくようだった。
それからどのぐらいそうしてたのだろう。
ひとしきり感情を発散させた後、私達は一旦落ち着きを取り戻すようにソファーへと座った。
少し間隔をあけて隣に座った母の横顔を見る。
……また少し痩せた?
そう確信するほど、母の姿からは以前の逞しい姿は感じられない。