愛情の鎖

それから少しすると母がポツリと語りだした。


「宗一郎くんとはね、幼馴染みだったのよ」

「えっ……」


少しのためらいの後、ゆっくり口にした母に一瞬目を見開いた。
心の覚悟を決めたよにゆっくり口を開く母。私は緊張で再び顔を強張らせた。


「小さい頃から家が近くてね、よく遊んでた子の一人だったのよ」


母は昔を思い出すように目の前のテーブルの一点を見つめている。
唇が微かに震えていた。


「彼は私より年が3才下で、小さい頃は弟のような存在だった。そして俊さんも、あなたのお父さんも彼と昔一度だけ会ったことがあるのよ」


そんなことは初耳だった。

両親と宗一郎さんが昔からの知り合いだった?

驚いた私は思わず目を見開き困惑の表情を見せる。


「だからあの時、優しく声をかけてきた宗一郎君にお父さんは簡単に気を許してしまったの」

「えっ?」

「彼の本性に気づかないまま、彼の提案する通りにお金を借りてしまったのよ」

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