愛情の鎖

それから数日後。

いつもより遅めに起た私はなにやら酷く苛立った宗一郎さんの気配に気付き、ハッとベッドから起き上がった。



「ーーそうか。なら徹底的に追い詰めろ。見つけ次第死なない程度に落とし前つけさせろ。ああ、構わん、やれ」



ゾクッとするような殺気に息を飲む。

まるでドラマでも見てるような凄みのあるセリフ。


いつ聞いても慣れることはない。

だって目の前には背中一面に広がる不動龍の刺青。

それがまた一段と怖さを引き立てているようで、私は淡い夢の世界からあっという間に濁った現実の世界に引き戻された。


「……今日は、帰りが早いの、ね」

「悪い、起こしたか」


上半身裸で首からタオルをかけた宗一郎さんが振り返る。

きっとシャワーでも浴びていたのだろう。

しっとりと濡れた髪からシャンプーの香りがする。


「おはよう梨央」

「おは、よう…。何かあったの?」

「いや、仕事の話だ。梨央が気にすることじゃない」


一瞬で和らいだ眼差しに戻った宗一郎さんが私の隣に移動する。

こんな風に話しを逸らす時は決まってヤバい仕事の時だと思う。

だから私はそれ以上は言葉をつぐみ、それ以外何も聞かなかった。


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