愛情の鎖
それから数日どんよりとした雨が続いた。
何故か浮かない天気。何となく家に閉じこもっていた私はリビングのダイニングテーブルに座りながらボーと窓の外を眺めていた。
コウさんは今警察署の方に戻っている。
代わりに来てくれた唯さんは今仕事の上司から電話がかかってきて隣の部屋でなにやら会話中だ。
「ふぅ〜…」
しっかし、こんなに毎日雨ばっかり続くとさすがに気分が滅入ってくる。
最近じゃあまり空を見上げてないし、大好きな歌も口ずさんでいない。
時々コウさんが寝る前にリクエストしてくれるけれど、改めて間近で真剣に耳を傾けられるとちょっぴり恥ずかしいっていうか、照れるんだもん。
「…あれ?そう言えば私携帯どこやったっけ?」
コウさんから少し前に渡された携帯電話。「常に離さず持ってろよ」と言われたのにも関わらず、普段からあまり携帯に執着してないせいか、すぐにどこに置いたか忘れてしまう。
ダメじゃん、これじゃあまたコウさんに注意されてしまう。
そう思い、私はソファーに置きっぱなしにしてあったバッグに向かっておもむろに手を伸ばす。