愛情の鎖
宗一郎さん…
緊張で身体中の筋肉が強張っていく。
全身黒のスーツで身を包んだ宗一郎さんの姿。
相変わらず世の中の全てを睨むような視線は恐ろしく、一歩一歩こちらを突き刺すように歩いてくるオーラに一言も声なんて出なかった。
「元気そうだな」
「………」
「約2ヶ月ぐらいか…、ずいぶんと長く感じたよ。ずっと会いたかったよ」
目の前まで来た宗一郎さんがふっと意味深に微笑み、私の目の前までやってくる。
「やっと会えた。きっとまた必ず会えると信じていたよ」
その穏やかな表情が逆に怖かった。
並べた言葉とは裏腹に感情のこもらない冷たい眼差しは恐ろしく、強い警戒心を抱いてしまう。
「あんな男にそそのかされてさぞ怖かっただろう。だけどもう安心しなさい。あんな野郎に梨央は指一本触れさせない。私がしっかり守ってあげるからね」