愛情の鎖

ゾッとした。

この人は何を言ってるんだろうって。

恐怖以外の何物も感じない。

宗一郎さんの指が何の躊躇もなしに私の顎に触れると、それはさらに強さを増した。


「相変わらず俺好みの可愛い顔して」

「………」

「そんなに震えるほど俺に会いたかった？言葉にならないぐらい感動してるのか」


この人の神経が分からない。

どうしてそんなことが言えるんだろう。

それは今に始まったことじゃないけれど、こうして改めて垣間見ると尚更表現しがたい感情が私を支配する。


「…わ、たしを…どうするつもり、ですか？」


それでも何とか怯えながら呟くと、宗一郎さんの瞳がスッと細められる。


「もちろんお前を連れて帰る。あんな男の所には二度と帰さないよ」

「っ……」

「ああ、この前の事ならもう怒ってはいない。あの時は俺もどうかしてた。つい感情が先走ってしまってね。もう二度とあんなことはしないから安心して俺の側に帰ってきなさい」