愛情の鎖

そしたらきっと安心して呼吸ができると思うのに。


「ふ~ん。俺は煙草と三大欲求さえ満たされれば別に何処でもいいけどな」


くだらない。そう面倒くさそうに吐き捨てたコウさんに私は何故か笑みが漏れた。


「なんかコウさんらしいね」

「所詮人間なんて欲望でできた塊だろ。食欲、睡眠、性欲さえ満たされれば結局は何処に居ても結果オーライなんじゃねえの?」

「そ、か……」


じゃあ私はきっと何処に行ったって満たされることはない。

だって、それらの全てが私には欠けているものだから。


ううん、それだけじゃない。

私には希望がない。

自由がない。

未来なんて、ない。


そんな私が何処に行ったって結局は堂々巡り。

今と何も変わらないのかもしれない。




あの人がいる限り……


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