愛情の鎖

彼の選択は正しかったと思う。

むしろ慎ちゃんを私の事情に巻き込んでしまったことをとても後悔している。

大好きだった慎ちゃん。この先私よりももっといい人に出会って幸せになってほしい。それが今の私のささやかな願いでもあるのだ。



その夜、マンションへ帰った私はなんとなく部屋に居たくなくて、ご飯も食べずに屋上へと上がった。

幸いなことに宗一郎さんは帰った時すでに仕事に行った後だった。
電話で実家から帰ってきた報告をすると、彼は安心したように「分かった」と電話を切った。

きっとリビングに付けられた監視カメラでも私の姿を確認できたのだろう。

そうでもないと彼は何度も私に電話をかけてくる。だから私はあえてカメラに映るように移動している。


「ふぅ〜」

今日はあいにくの曇り空。

どんよりとした夜空の下私は深いため息を吐いた。

あれから3年。気持ちでは割り切ったつもりでいた。けれど実際あんな事をきかされるとなんだか複雑な気持ちになってしまう。


「慎一くん、来月結婚するらしいわよ」


実家で母に言われた言葉。

それは今の私にズシっと重りを与えられたような深いセリフだった。

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