愛情の鎖
「あなたの側には戻らないって決めたのっ」
「………」
「あなたの顔なんてもう見たくもない!」
宗一郎さんの目付きがあからさまに鋭く変わる。
「へーそんなにあの男が好きなのか」
「そう、よ。あなたの元に戻るぐらいなら死んだほうがまし。いっそここで殺してくれた方がましよっ!」
負けずにキッと睨み返すと、彼の手によってグイッと再び顎を持ち上げられた。そのせいで顔が苦痛に歪んでいく。
「それがお前の本性か?」
「えっ」
「今までの人形のような奥ゆかしさとはまるで別人だな」
何故かバカにしたような笑いだった。
「面白いじゃないか。そんな素のお前もなかなか魅力的だ。これからじっくりと調教のしがいがあるってもんだからな」
「………」
怖すぎる口調に私の顔が歪みを増す。
きっとこれ以上何を言ったところでこの人には何も伝わらない。むしろ宗一郎さんの過剰な執着は酷くなるばかりだろう。
そう思った瞬間今まで偽っていた自分の押さえてたものがバリバリと剥がれていくのが分かった。
「いいじゃない、やれるもんならやってみなさいよっ、私は絶対にあなたなんかに靡かない!もうあなたの言いなりなんかにもならない、お金で周りを支配しても私だけは違う!意地でもあなたから離れてみせるからっ!」