愛情の鎖
宗一郎さんに向かって初めて自分をさらけ出した瞬間だった。
もうこうなったらどうでもいい。
どうせ人生ここで終えるなら言いたいことを言って自分の気持ちに正直になった方がいい。
もう自分の気持ちに蓋をしたりなんかしない。
私は宗一郎さんの都合のいい人形なんかじゃない。
「お金や権力で何でも自分の思い通りになるとは思わないで!いくらあなたに酷い仕打ちをされたって私の心だけは絶対にあげない!あなたの思い通りにはさせなっ……」
バシンっ!!
私の勢いは突然の衝撃で遮られた。頬に強い痛みを感じ、私は唖然としてその場に固まった。
「………」
宗一郎さんに平手打ちを食らったと気づいたのはそれから数秒のこと…
「ふざけた物言いもそれぐらいにしてもらおうか」
「ーーっ」
胸ぐらを掴まれ、息がグッと押し潰される。
まるで刺し殺すかのような視線にゾクリと言葉を失っていく。
「梨央、何回も言うがこの世の中は金だ。その証拠にお前は俺に買われたんだ。忘れてるようだが両親に借金の方に売られたんだ。それが現実だ。お前がどんなに喚こうか否定しようがそれは変わらない、分かったら下手な抵抗はやめ……」
「いやよ!」
歯を噛みしめ、ありったけの抵抗で睨み付けた。
「どうせそれだってあなたが裏で仕組んだことでしょ!?私の母が自分を捨てて今の父を選んだ逆恨みで仕向けたことなんじゃないの!?本当最低ね!あなたは私が欲しかったんじゃない。本当は母が欲しかっただけなのよっ!」