愛情の鎖
さすがのコウさんも眉間に皺を寄せ、表情を鋭いものに変えていく。
「お前の大事な女を今ここで、お前の目の前で殺してやるよ!」
宗一郎さんの嘲笑う声が大きく響く。
私は微動だに出来きなかった。
さすがにこの状況じゃ、コウさんだって私を庇いきれない。
すぐ後には遠藤さんがいる。
しかも私を拘束したまま、両腕を縛り上げている状態だ。
「残念だったな梨央、所詮お前は俺の手の内にある、あの男のものには一生なれない運命んだよ!」
「…っ……」
もはや絶望しか感じられない。
誰よりコウさんを信じてる。
だけど、どうしようもできないことだってある。
宗一郎さんのその言葉に深い地獄へと落とされていく絶望感。
いよいよ私はダメなんだ。もうここまでなんだ。悔しいけど覚悟を決めるしかなくて、
「さぁ遠藤、遠慮はいらねー、お前が持ってる拳銃で一気にその女の頭を撃ち抜けよ!」
「………」
ーー…がチャリ。
背後で引き金を引く音が聞こえた。
やけに頭の奥まで響く音だと思った。
そして頭部に当てられたひんやりとした銃口。
体が小刻みに震え出す。
もう、ダメなの?
本当に、わたし……