愛情の鎖
「誰がお前の命令なんか聞くか」
…………えっ?
気づいたらぐるぐる巻きだった両腕のロープはほどかれていた。
そして私は体制を変えられ、いつの間にか遠藤さんに庇われるようにして背後に追いやられている。
「ごめんね、もう大丈夫だから」
「…えっ……」
一瞬聞き間違い?そう思ったが、
小声で囁かれた私へのセリフ。
かと思えば、あろうことか、今まで私に向けていた拳銃を遠藤さんはボスである宗一郎さんに向かって堂々と向け始めている。
「終わりなのはお前だよ」
「なっ!」
どういうつもりだ!宗一郎さんの怒鳴り声が響く。
だけど目の前の遠藤さんはふっ…と、意味深に笑うだけ。
いったいこれは…
さっきまでの、いや今までの遠藤さんとはまるで別人。
その言葉使いも雰囲気も、思わず凝視してしまうほどの違いよう。ガラリとその場の空気が変わっていく。
「遠藤、お前俺を裏切るきかっ!?」
「ふっ、人聞きがわりぃなぁ、裏切るもなにも最初っから俺はお前に忠誠心なんて持ってねーよ」
「あ?」
「お前を仲間だなんてこれっポチも思ってた覚えはないっつーことだ」
「っ!なんだと…!」