愛情の鎖

「勝負あったな澤田。もうお前はここまでだ。俺に歯向かうなんて100万年早いんだよ」

「…つっ……」


間一髪宗一郎さんより早く引き金を早く押したコウさんが冷たい眼差しでそう言った。

コウさんには傷ひとつ見受けられない。

まるでテレビドラマでも見ているようだった。

ううん、違う。そんなものより遥かに凄い。実際の恐さを目の当たりにして、私は目の前の遠藤さんの服を思いっきり握り締める。


「さぁ、これで本当に年貢の納め時だ。澤田さんよぉ。これで観念してもう悪あがきはやめろ」


コウさんの表情が余裕に変わり、宗一郎さんを追い詰めていく。

そんな状況に宗一郎さんの口からは「くっ…」と苦し紛れの声が漏れる。

これでやっと、本当に決着が着いたの?

誰もがそう思ったその時、


「くそぉぉっ!!」


最後の力をふりしきり、宗一郎さんが立ち上がった。

そして力の限りコウさんを睨み付け、今しがた飛ばされた拳銃に向かって手を伸ばす。


「このまま終わってたまるかよ!!俺はぜってぇお前らに負けたりしねぇ!!!」


まるで狂ったような形相。底抜けた執念だけで気力を振り絞り、落ちている拳銃を手にしようとしたその時だった。


「ちっ、アホが…」


「確保!!」と声と共に一斉にバタバタと足音が聞こえた。そしてガチャリーー。数人の大人達が一斉に宗一郎さんの周りを取り囲んだ。

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