愛情の鎖

コウさんの勝ち誇った声が倉庫に響く。

ハッと思った直後、コウさんがダンッと一歩踏み込み、思いっきり宗一郎さんの胸ぐらを掴み上げた。


「覚悟しろよ澤田、今まで散々好き勝手やった分、俺がこのあと署で容赦なく追い込んでやるからな」

「んぐっ…」


さらにコウさんの力は強くなる。

まるで私の今までの憎しみを変わりに込めてくれるような力強さ。
宗一郎さんに向ける表情は今まで見たことがないぐらい冷たく半端ない。


「おい晃一、それぐらいにしとけ。死ぬぞ」

「…ちっ……」


遠藤さんのその言葉がなかったら、きっと本当にヤバかった。

それぐらいコウさんから感じる殺気は酷く凄ましい。


パトカーのサイレン音があちこちで響く。

手錠を掛けられた宗一郎さんはそのまま遠藤さん、他数人の刑事さんに連行されパトカーの中へ。

その光景を見届けた瞬間私の体からは力が一気に抜け落ちーー…


「梨央!」


その場に座り込んでしまう。
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