愛情の鎖

「……ほん、と?」

「ああ梨央、お前は自由だ」


それを再確認した瞬間あっという間に涙腺が壊れ出す。

やがてポロポロと流れ落ちる涙。次第にそれはそ滝のように流れていき、ダムの結界が切れるように止められないものとなった。



「うっ、あぁぁぁっ……」


この時、私は初めて大声をあげて泣いた。

顔を両手で覆い、今までにないぐらいの感情が流れ出す。

こんな感情は久しぶりだった。

自分でも止められない、3年分の思い。

ずっと心の奥に押し込めていた、我慢していたものが次から次へと溢れてくる瞬間だった。


「うっ、くっ……」


その間コウさんは何も言わず、ずっと私を受け止めていてくれていた。私をきつく抱き締め、背中を優しく擦ってくれる。

そんな彼の温度はとても温かかった。

だから気が済むまで甘えてしまった。

まるで幼い子供のように脆く。

どうすることのできない感情をぶつけるよう、私は暫くその場から動くことができなかった。








ーーー…
< 417 / 491 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop