愛情の鎖

コウさんには助けられてばっかりだもん。

感謝してもしきれない。

だからせめて、今度は私が、


「今日はコウさんの食べたいもの作るよ。何がいい?リクエストとかある?」


そうやって微笑むとコウさんの瞳が分かりやすく開いた。表情が少しだけ驚いた顔に変わる。

そしてすぐに目を細めた彼はふっと息をもらし、額に触れている私の手を取りそっと握りしめた。


「たくっ…、他人の心配より自分の体をもっと心配しろよ。お前の方こそクタクタだろ」


まさかコウさんからそんな言葉をかけられるなんて思わなかった。
急に優しく目を細められるとドキッとする。

不覚にもときめいちゃう私がいて、こういう場合どうしたらいいか…


「あの…」

「そうだなぁ、どうしてもっていうなら梨央が食材になれば?お前を食わせろ」

「は?」


目が点になる。

耳元で不適に笑いかけられれば私の思考なんて一瞬でショート寸前。


「くっ、顔色やばいぞ。どんな妄想してんだ」

「っ!!」


また、からかわれた?

そう思うのに、こんなやりとりが無性に嬉しくて、膨れるより先に顔が自然に綻んでしまう。
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