愛情の鎖

「……そう、なんだ」


そうなると、今までのコウさんの行動に全てが納得がいく。

だからあの時、コウさんは必要以上に私に接触してきたんだ。

宗一郎さんを捕まえるため。

ただ、それだけのために。


「いっとくが勘違いするなよ。お前を口説いたのは仕事の為なんかじゃない。全部俺の独断と意志だ」


よっぽど私が暗い顔でもしてたんだろうか?

頭にグシャリ、コウさんの手の平が私の髪を撫でる。

まるで落ち込む私を慰めるようにそっと。


「正直お前を好きになるのは想定外だった。自分でも戸惑った。だけどそれ以上にお前が欲しいと思ったのは事実。俺の手であの男から救ってやりたいと思ったのも本心だ」

「コウさ……」


私はコウさんの言葉を真っ直ぐ聞き入れる。

きっと彼は嘘なんかついてない。

その証拠に彼は今まで私を何度も助けてくれた。そして気持ちごと守ってくれた。

それは間違いなんかじゃない。ちゃんとこの目でしっかりと見てきた。

そんなコウさんの思いは本物だってちゃんと分かるから。
< 432 / 491 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop