愛情の鎖
「……そう、なんだ」
そうなると、今までのコウさんの行動に全てが納得がいく。
だからあの時、コウさんは必要以上に私に接触してきたんだ。
宗一郎さんを捕まえるため。
ただ、それだけのために。
「いっとくが勘違いするなよ。お前を口説いたのは仕事の為なんかじゃない。全部俺の独断と意志だ」
よっぽど私が暗い顔でもしてたんだろうか?
頭にグシャリ、コウさんの手の平が私の髪を撫でる。
まるで落ち込む私を慰めるようにそっと。
「正直お前を好きになるのは想定外だった。自分でも戸惑った。だけどそれ以上にお前が欲しいと思ったのは事実。俺の手であの男から救ってやりたいと思ったのも本心だ」
「コウさ……」
私はコウさんの言葉を真っ直ぐ聞き入れる。
きっと彼は嘘なんかついてない。
その証拠に彼は今まで私を何度も助けてくれた。そして気持ちごと守ってくれた。
それは間違いなんかじゃない。ちゃんとこの目でしっかりと見てきた。
そんなコウさんの思いは本物だってちゃんと分かるから。