愛情の鎖

「ありがとうございます」


今までのことを振り返ったら急に熱いものが込み上げてきた。

歓喜余って思わず涙ぐんでしまう。

例え最初はどんな理由であろうと、コウさんと出会えたことは奇跡だから。人生を変えるとても大きなものだったから。

私の生きる道を変えてくれた。まさに恩人だ。


「ふっ、何だよ。急に潮らしくなってんじゃねーよ」

「だって、コウさんがいなかったら私は今こうしていない。こんな風に美味しい空気をもう一度吸うことさえできなかったかもしれない」


そう思うと泣けてくる。

今までの苦痛すぎる日々を思うと、涙が溢れて止まらない。


「……あれ?おかしいな。ごめん、急に涙が……っ、どうしよう、さっきから涙腺が故障しちゃって…」


拭っても拭っても落ちてくる。

こんなことは初めてだ。

さっきだってあんなにわんわん泣いたばかりなのに、止められない。

ダメだね。
こんなんじゃきっとコウさんだって呆れちゃう。

こんな風に泣いてばかりの私を見てたら「子供かよ」っていつもみたく意地悪く笑われてもしょうがないよ。
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