愛情の鎖
きっとそれは全て終わったから。
私が今までみたく必要以上にコウさんと一緒にいる理由がなくなってしまったからだ。
「コウさんはそれでいいんですか?」
頭では分かっているのに、気持ちが駄々をこねる。
コウさんと離れたくないって納得してくれない。
「いいも何もそうするのが一番のベストだろう?」
なのにコウさんは大人の対応。
シートベルトを外し、私と向き合った彼がそんなことを言うもんだから、何だか表情が一気に沈んでしまう。
「……梨央?」
「あ、ご飯は?約束したでしょう?今日はコウさんの好きなものを作るって、せめてそれだけでもっ!だってほら、私まだコウさんに何もお礼が……」
そこまで言ってコウさんに腕を引き寄せられた。
あ…、と思った瞬間私は彼の腕の中にすっぽりと埋められてしまう。
彼の温かい温もりが私を包み込む。
「梨央、俺のことはいいから。今日ぐらいちゃんと家に帰れ」
「…っ……」
そんな言葉が胸に突き刺さる。
分かってる。分かってるよ。
コウさんは私の為を思って言ってくれてるんだってことぐらい。
分かってるのにこの腕を離したくない。コウさんから離れたくなくて、私はぎゅっとしがみついてしまう。