愛情の鎖
あ〜あ。
今日は全然星がみえないや。
そんな空を感じながら余計に気分も暗くなってしまう。
「ねぇ…、一つ聞いていい?コウさんの初恋ってどんな人だったの?」
「なんだよ。急に」
「何となく……」
特に深い理由はない。
ただ何となく…それだけの気持ちなんだけれど……
「知りてぇのか?」
「べ、つに嫌ならいいけど……」
目が合うと、一瞬怪訝そうな顔をしたコウさんが煙草を口から離して何故かニヤリと口の端を上げた。
「10才上の人妻」
「は……?」
「ちなみにその相手はダチの姉貴。つーか、その相手が強引に俺の初を奪った最強の女」
なーんて言うもんだから、私は衝撃すぎて一瞬おもいっきりフリーズしてしまった。
……聞いた私がバカだった。
持っていた空の缶を力なく落とすと、隣からくくく…とバカにした笑い声が聞こえてくる。
「ふっ、お子ちゃまには刺激が強かったか。なんならその時のことをもっと生々しく教えてやろーか?」
「結構です!」
悪趣味もいいとこだ。
誰がそんなドロドロした話を聞いて楽しまなきゃいけないのか。アホらしい…
ダメだ……私の周りにはろくな大人がいやしない。